子宮腟部びらんに病的意義はほとんどありませんし、非常に一般的な病気というか症状で、若い人にはほとんどあります。しかし、子宮頚癌検診でしばしば使用される言葉なので、誤解のないように説明しておきたいと思います。
子宮の入り口のところを子宮腟部と言いますが、ここは女性ホルモン(エストロゲン)の作用で非常に皮(上皮)が薄くなります。(この状態をびらんと呼んでいますが、薄い皮があるので本当は仮性びらんです、本物のびらんは皮がむけてしまった状態です、例えば焼けどや水疱が破けたりした時ですね)。薄くなりすぎるとちょっとしたこと(たとえば性交など)で出血するようになり、場合によっては何もしなくても出血して感染を起こし常に黄色いおりものが出るようになります。
びらんを治すためにはまず感染を治療しなければなりません。したがって腟内の洗浄と抗生剤の腟剤で治療を行う必要があります。多くはこれだけで治りますが、頑固な場合は冷凍凝固治療を行うことがあります。びらん自体の治療はこれでよいのですが、びらんは子宮頚癌の初期症状に良く似ているのです。似ているだけでびらんが癌になるわけではないのですが、やはり紛らわしいので子宮頚癌検診は必ずする必要があります。