エミッタフォロア回路

エミッタフォロア回路

次にお話しするのがエミッタフォロア回路もしくはコレクタ接地増幅回路という超重要な回路です。エミッタ接地増幅回路が主に電圧を増幅したのに対してエミッタフォロア回路は電流を増幅することになります。で、最終的にスピーカーを鳴らすためには電力を必要とするわけですが、その時電圧が変化するだけでは不十分で電流がちゃんと流れる必要があります、電圧増幅回路では隣の回路への影響は無視してもよい程度の電流しか流れませんでした、ここではスピーカーを立派に駆動するために十分量の電流が流れる必要があります。

エミッターフォロアー回路

例えば上のようなエミッタフォロア回路を考えると、入力にはすでにバイアス電圧のかかったプラスの信号が入ってくるとします。それに対してトランジスタはどういう働きをするかというと、トランジスターの基本のところでお話ししたように忠実に0.6v低い電圧がエミッタ側に現れそれがReにかかることになります。Reの両端にかかる電圧の振幅とスピーカーにかかる電圧の振幅は同じになります。スピーカーには直流電流は流せないのでコンデンサで直流成分をカットして、0vを中心に上がったり下がったりする交流信号がスピーカーにかかります。するとスピーカーから音が出るのです。この場合は電圧は入力より0.6v下がっているので全く増幅どころかむしろ電圧は下がっているのですが、強力にその電圧がトランジスターにより維持されるのでスピーカーにはその電圧に見合った電流がこれまた強力に流されることになります、そこに妥協はないのです。忠実に電圧が制御されることにより、必要な電流が電源が許す限り流れるということになります。これはエミッタ接地増幅回路では絶対にできない芸当なのです。ためしにエミッタ接地増幅回路の出力にスピーカーをつないでもほとんど音は出ません。十分な電流が流れないからだと思います(違うかな?)。

ところで今気づきましたが、この回路はコレクタ接地になってませんね。でもちゃんとしたコレクタ接地回路というかエミッタフォロア回路としてテキストに紹介されています。結局どこから出力を取るかでエミッタフォロアかエミッタ接地かが変わるようです(どっかのホームページかブログにそのようなことが書いてありました)。エミッタ側から出力を取り出せばエミッタフォロア回路となり、コレクタ側から出力を取り出せばエミッタ接地増幅回路になるようです。

ただしこの回路を実際作ってみるとわかりますが、ひどい音がします。ほとんど聞くに堪えない音です、なぜそうなるのかいろいろ考えました、これを紹介してあるテキストにはその解説がずっと書いてありましたが、何度読んでも理解できません。ヤフー知恵袋に似たような質問が書いてあってどなたか説明されていましたが、やっぱりわかりません。でも実際にひどい音がします、ただReを小さくしていくとだいぶましな音になっていきます。ただしそうするとかなりの電流が無駄にReを流れることになり、結構無駄です。実験的にこの抵抗を51オーム(50オームという抵抗はないです)くらいまで低くすると、結構よい音がしてきました。それで僕なりに考えた感性のエミッタフォロアのイメージを書きますね。

エミッターフォロアー回路2

入力された電圧Vから0.6v低い電圧がエミッタ側に現れます、その電圧は当然Reとスピーカーにかかります(ただしスピーカーにはコンデンサを通していますが)、するとスピーカーが8オームなら電流は(V-0.6)/8アンペア流れるはずです、Reには(v-0.6)/Reアンペア流れます。ただ入力電圧Vは交流信号を含んでいるわけですから、上がったり下がったりしています。上がっている分には問題なくスピーカーに先ほどの式で示した電流が流れて音が出ると思います。しかし次に入力電圧が下がり始めた時を考えると、コンデンサーに蓄積された電荷が放出されてきますからスピーカーには逆向きの電流が流れるはずです(このコンデンサがないとスピーカーに直流成分が流れるのでプラス側に張り付いて音は出ません、あくまでもスピーカーには0vを中心にしてプラスになったりマイナスになったりする交流電流が流れないといけません。)するとその電流はトランジスタ側には流れようがないので(エミッタからコレクタ側には電流は流れません)Reを通ってアースに流れるしかありません。すると入力電圧が上昇するときには何の抵抗もなくコンデンサを通してスピーカーに流れていた電流が、いざ電圧が下降し始めると今度はReという余計な抵抗を通らないとアースに流れないという不自然な状態になります。それでスピーカーにはプラス側とマイナス側で形の違う電流が流れることになり、結果としてひどい音になるのではないかとイメージとしてとらえています。ですからReが小さくなるとその波形の違いが減ってきてまともな音に近づくのではないかと思います。

この現実的でないエミッタフォロアのイメージをわざわざ考えたのには理由があります。実はトランジスタアンプにどうしても欠くことのできない重要な回路がもう一つあります。それがコンプリメンタリプッシュプルという回路です、Single ended push-pull回路とも言います(略してSEPP)。これを理解するときに上の考え方が重要になるというか、うまくつじつまが合うのです。実はこれを考えつくまでSEPPの電流の流れが理解できませんでした、理解できないまま作っていましたが、気持ち悪いので一生懸命考えた挙句にたどり着いたのがこの考え方です。これなら素人にもなんとなく感性で理解できると思います。で、おそらく大まかには間違ってないような気がしています。
とりあえずエミッタフォロアはこれくらいにしましょうか。SEPPに関しては後でまた説明します(疲れたので)。

 

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