事のはじめ
僕の趣味は音楽鑑賞です、何でも聞きます。クラシックもジャズもポップスも。ある時うちのアンプが壊れてしまいました。それでちょっと奮発していいアンプを買おうといろいろネットなどで調べていたら、偶然真空管アンプというものが引っかかりました。結構高いのですが、完成品か、もしくはなんと自作できるとも書いてあります。要するにキットですね。実は僕は中学生のころはラジオ少年でラジオの制作という本を毎月買って読んでいました。その頃は(昭和40年代)そういうのに興味のある少年は多かったのです。そのころアンプを作りました。ラジオの制作の実態配線図通りに作ったのですが、結局音が出なくてそのまま放置したのを、確か高校生になってもう一度作り直して何とか音が出るようにして、スピーカーも板を買ってきてのこぎりで切って隙間だらけのボックスを作ってスピーカーをはめ込んで聞いていました。アンプはハムの音が常にブーと言ってましたが、それでもそこそこ満足して聞いていました。
電子工学科に入学したものの
高校では文系でした、大学受験は文学部で国文科希望でしたが、落ちました。浪人してやはり自分は理系だったんだと思って理系に変えて、次の年に地元の大学の電子工学科に入学しました。しかし電子工学とは名ばかりで、勉強するのは量子力学だの不可解な数学と意味不明の多次元の関数の関数による解析など、これは天才でなければまず理解できないというようなものばっかりで、ラジオの制作は全くなかったのです。
夢破れて部活(空手部)にも翻弄されて、挙句に留年してしまいました。当時工学系は構造不況業種と言われ留年した学生に就職はないと言われました。途方に暮れていたところで、医学部の友達が手に職があれば生きていけるようなことを言っていたので、結局大学をやめて受験をやり直して医学部に入ったのです。医学の勉強は単純に暗記でした、理屈はありません。覚えるのはきついですが覚えればよいのです、天才でなくてもできます。僕にはあっていたようです。いつしかラジオの制作のことは忘れていました。
真空管アンプを作りました
前置きが長かったですが、そこで真空管のキットを作ろうとなぜか急に思い立ったのです(電子工学科を中退して35年ほどたっていました)。で、よくよくネットを調べていると真空管アンプを自作している人は多くていろいろな記事が出ています、中でも「情熱の真空管」というサイトがあり、ほとんど(その筋では)神格化されたようなペルケ氏という方が書かれているホームページでした。それを読みながらむらむらとまた少年時代の好奇心がわいてきて、まずそのサイトにある真空管アンプを作りました、部品はそのサイトのペルケ氏に頒布(はんぷ)してもらいました。さすがに大人になっていたせいか、はんだ付けも久しぶりでしたが間違いもなくできて音がちゃんと出ました。信じられないくらい良い音で感動しました。それからどうにも病みつきになって止まらなくなってしまいました。
そこそこ苦労しました
ということで、これからその顛末というか苦労話を書こうかなと思います。意図としてはまずおおねむ素人でも何とかアンプを設計して自作できるようだということを書きたいと思います。ただし理論は全く整然としていません、基本的には感性で設計して作るといった感じです。ある程度基礎的なところが書けたら、あとは実際にこう言うのを作ってどこを苦労したみたいなことが書ければいいなと思ってます。大事なことを言い忘れました。僕はオシロスコープとか交流電圧計などの測定器具は持ってません。あるのは2000円で買ったテスターだけです。後は耳が測定機になっています。素人はテスター以上の測定器をもっていてはいけません。